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拝啓 みんみんと鳴く蝉の皆様

拝啓  みんみんと鳴くセミの皆さま

毎日暑い中お疲れ様でございます。いくら木陰におられるとて今年の暑さはひと際厳しいように感じますがいかがでしょうか。今年もまた皆さまには命について考えるご縁を結んでいただき有難うございます。

コロナ禍もあって、こどもたちとの外出はどこかに連れていくことではなく、涼しい時間帯に近所をぐるりと散歩することが日課となりました。木々にとまっている皆さんを見つけることはなかなか難しいのですが、道中にはお腹を見せたり、うつぶせのまま最期を迎えているお仲間をお見掛けします。こどもたちがその姿に会うたびに手を合わせるようになりました。命の尊さをその身をもってお知らせいただき、お育て賜り有難うございます。

『生まれたからには死んでいかねばならない。』自然なことでありながら、場に出して考えることが避けられがちな世の中です。皆さまのいのちの最期を見届けることで、食卓の場においても、おさかなや、どうぶつのいのちをいただいていることをあらためてゆっくりと伝えることがかないました。

また「命が終わったら仏さまになるんだよ」という話もさせていただきました。「おとうもいつかは必ず最期を迎えるけど、今度は仏さまになってみんなのもとに帰ってくるし、道を照らす役目があるんだよ。」と伝えることがかないました。5才頃から、死を頭で理解しはじめるという論文を読んだことがありましたので、いつかはゆっくり話しておきたいなと考えておりましたが皆さまの命の教えのおかげさまでその機縁をいただきました。

今もなおこの文章を打ちながら、皆さまの声がこの私に至り届いております。小さい体にありながら、どこまでも響き渡る諸行無常を知らせる声。いつも有難うございます。私自身煩悩具足の身ゆえに思い通りにはとてもなりませんが、皆さまのように命の限り、精いっぱい生ききりたいものです。いつの日か最期を迎えるその時まで、皆さまがみんみんと鳴くように、なまんだぶ、なまんだぶと念仏申しながら歩み続けたいものであります。略儀ながらまずは御礼まで。

称名念仏

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